2008.08.18 MON
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■広報レポート <本当に、不可能か>

 許したヒットは、わずか5本。151球の完封。今夜、記念すべきシーズン10勝目をあげた先発のスウィーニーだが、開幕当初、彼の躍進を予想した者は極めて少なかったに違いない。今季は減俸での再契約、ローテーション入りはおろか、春季キャンプの時点では1軍入りすら保証されていなかった。まさに最底辺からの出直しとなったが、再び日本でプレーできる喜びを忘れず、厳しい条件に愚痴ひとつこぼさず黙々と練習に取り組んだ。これまでの概念を捨て、必要とあらばブルペンでの投げ込みを納得いくまで行なった。人知れず努力を重ねた結果が、節目の勝利につながった。「チームが勝てばそれでいいよ。10勝は嬉しいけど、目標は優勝だから」と、少しの笑顔を見せたあと、口元を引き締めた。

 スウィーニーの活躍を先読みしていた人がいる。ファイターズ・中垣チーフトレーナーだ。オフシーズンの節制が体の仕上がりに表れていると繰り返していた。「今年の彼は、昨年とは全く違う。下半身の使い方が見違えるほど良くなったし、先発として十分活躍すると思うよ。制球勝負の彼の良さが発揮できるはず」と、キャンプ期間中にスウィーニーのトレーニングを見ながら語っていたのを思い出す。投球技術を向上させるのはもちろんのこと、体力トレーニングとピッチングの重要な関連性に気づいた右腕が実力を発揮するのは、時間の問題であったようだ。とにかくスウィーニーは、新球の取得など思ったことは直ぐに実行する。異文化を尊重する性格は仲間に好かれ、日本語の覚えも早い。先日、家族のアメリカ帰国時には、子供がお世話になったお礼にと自ら合宿所へ足を運び、栄(さかえ)寮長に挨拶に行った律儀さも見せる。福岡では博多とんこつ、大阪では関西うどんをクラブハウスで注文するなど、地方の流儀(?)にも敏感になった。今日の試合前は、「セミノコエ、ウルサイ」とか、「ソト、ムシアツイ」などと軽快にジョークを飛ばし、明るい話題の少ないクラブハウスを和ませた。スウィーニーが投げ勝った日は、ただの1勝以上の活力をチームにもたらすのだ。

 「イッショニ、タタカイマショウ。」 スウィーニーお気に入りのフレーズだ。首位・ライオンズとのゲーム差はなかなか縮まないが、白旗をあげず最後の最後まで全員で立ち向かっていくことが大事だ。シーズン開幕時はスウィーニーの活躍を誰もが予想しなかったように、諦めなけけらば、何が起こるかわからない。予期せぬことが、ファイターズを待っているかもしれない。選手たちから、「不可能」の言葉は聞こえてこない。

■梨田語録

「今日はミスも有ったが、理想的なファイターズ野球で勝てましたね。スウィーニーがテンポ、コントロールと途中まで球数も少なく非常に良かった。スウィー二ーは、常にゲームを作ってくれてましたから初完封とは思えないですね。今日で金子誠選手が1500試合出場、スウィーニーが初完封し、オリンピックでは稲葉選手が決勝のホームランを打ってくれましたしね。金子誠選手『1500試合出場』、スウィーニー選手『初完封』オメデトウございます。」

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