2008.09.29 MON
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■広報レポート <好試合>

お立ち台のヒーロー
最後のありがとう

 涙をこぼした人も、涙がこぼれそうになった人もいた。

 最後はファイターズが勝利したが、敗れたマリーンズの戦いぶりも全く劣らず見事だった。今日の試合に関しては、勝敗の分かれ道など振り返らなければわからないくらい、曖昧なものだろう。勝った、負けたで内容を評価することなど、愚にもつかぬ。鬼の形相で最後の打者、里崎を打ち取ったダルビッシュは、「いつもと、何ら変わりない」と平静を装ったが、明らかに今日の試合後のダルビッシュの表情は、大役を務めた安堵に満ちていた。

 通常、スタジアムでのヒーローインタビューを終えると真っ直ぐ報道陣取材に向かうダルビッシュだが、今日は寄り道をした。「ちょっと、待ってもらえますか」と、勝利投手に与えられるBB人形を大事そうに両手に抱えロッカーに向かった。試合前、今季限りの退団を打ち明けた球団職員に、ホーム最終戦の記念にとその人形を手渡すためだった。「ありがとうございました」と小声でお礼を述べられたその職員の目から、涙がこぼれ落ちた。

 田中賢介をお立ち台へ送り込んだのは、今日一軍登録された、坪井智哉の一打と言っていい。今季は長いファームでの生活を余儀なくされ、煮え切らない日々だったに違いない。しかし、彼は常に勝利貢献の機会をうかがっていた。一度たりとも、フアンの声援を裏切るような態度をとらなかった。そして最後の最後で、この1年の思いを一振りにかけた。「ここまできたら、技術じゃなくて気持ちなんですね」とは、坪井の本音だろう。最終戦セレモニーを終えロッカーに引き上げてきた坪井に、三木が声をかけた。「僕、泣きそうになりました。」 鎌ヶ谷で共に時間を過ごしてきた三木にとっても、あの坪井のヒットはただの右前打以上の価値があったに違いない。坪井の目も赤く染まって見えたのは、気のせいか。

 試合を終えてもまだ、レフトスタンドからは応援歌の大合唱が続いていた。その中には、今季途中退団したジョーンズのものも含まれていた。成功、失敗に関係なく、今年ファイターズのユニフォームに袖を通した者すべてに声援を贈ってくださる光景に、胸が熱くなった。

 ファイターズは、クライマックスシリーズ進出に一歩前進した。でも、そんなことは正直、二の次に思える爽快感が、静寂に帰ったスタジアムに満ち溢れていた気がする。ホーム最終戦にふさわしい、好試合であった。

■ダルビッシュ投手 <9回、打者31、球数114、安打5、四球1、三振12、失点1、自責点1>

完投勝利で16勝目

「こういう大事な試合で勝つことが自分に与えられた仕事だと思い、楽しんで投げることを頭に描きながらマウンドに上りました。あまりプレッシャーを感じず、普段通りに投げることが出来ましたが、シーズンも終盤に入ると最後はいっぱい、いっぱいでした。幸運も手伝って9回は何とか抑えました。記録とか、そういうものは二の次で、とにかくチームの勝利に貢献することだけを考えています。仙台での試合も、勿論出番があれば中継ぎでいくつもりです。」

■梨田語録

最後の挨拶をする梨田監督

「開幕戦と同じ両エースの投げ合い!!ダルビッシュ・M小林宏両投手ともに抜群の出来で非常に締まった好試合でしたね!!田中賢の一発!本当に良いところで打ってくれました!!まさに値千金!!の一打でした。点が入った直後の7回、やはり試合が動き出し同点にされましたが、たとえ延長戦に入ってもダルビッシュが音を上げない限り投げてもらうつもりでしたし、本人もその気でしたので!!明後日の楽天戦はダルビッシュの状態をみてGOサインならば当然ベンチ入りさせるつもりです。インタビューの中で『中継ぎでも投げます!』と言った男気はかいですね!!ただ彼に限らずファイターズ全ての選手が総力戦と心得ているので、ビジターでは有りますが、ファンの皆さんの大きな声援の後押しを受け、楽天戦に集中したいと思います!!」

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