2010.09.11 SAT
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
0
0
1
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
R
H
4
9
1
6

■広報レポート <ただ、勝つために>

 最後の打者が放った打球は、ファウルゾーンで鶴岡選手のミットに収まりました。完投での11勝目。その瞬間、マウンド上のダルビッシュ選手は仁王立ちしてこぶしを握り締めました。8月6日以来、1ヶ月以上も白星から見放されていたエース右腕。しかし、絶対に負けられない一戦で、自らの手で勝利をたぐり寄せました。

 ホークスの先発は杉内選手。それでも、ダルビッシュ選手の頭は“エース対決”よりも、ホークス打線にどう立ち向かうかでいっぱいだったようです。

 「前回やられているので、しっかり抑えないといけないと思って投げました」。8月13日、同じヤフードームで完投しながらも5失点で敗戦投手になっていました。そのリベンジを果たすために考えたのは、ピッチングの組み立てを変えることでした。

 「前回はチェンジアップを多く投げたので、向こうにはそのイメージがあるかなと」。この日はチェンジアップをほとんど投げませんでした。決め球はフォーク。150キロを超えた速球や切れ味抜群のカットボールとの“相乗効果”で12奪三振。八回までは走者を三塁に進めない完ぺきな内容を披露しています。

 「チームが勝って良かった」と笑顔を見せる一方で、完封を逃して悔しさをあらわにするところが、またダルビッシュ選手らしいところ。「無駄な点をあげてしまったところがちょっとね。最後まで行かせてもらえたんだから、完封しないともったいないですね」。飽くなき向上心を持つ男の挑戦は、まだまだ続きます。

 「ダルが投げるとなかなか点を取ってあげられなかったから」。そう言って喜んだのは4番の小谷野選手。1点をリードした四回1死で、右翼席に16号ソロを叩き込みました。攻撃陣全体が杉内選手を攻略するため必死だったのは言うまでもありません。

 試合前のロッカーで陽選手、鶴岡選手、飯山選手は「オレたち7番から9番の下位打線3人で2本はヒットを打とう」と約束を交わしていたといいます。その陽選手が三回に右前打で出塁し、鶴岡選手が犠打。飯山選手が内野安打でつないで田中賢選手の先制犠飛をもたらしました。3人合計で4安打。満足そうに球場を後にする姿が印象的でした。

 中田選手も六回に5試合ぶりの安打となる2点適時打を放ち、「涙出そう」と安堵の表情。その適時打を呼び込んだ稲葉選手の犠打も大きな価値がありました。ベンチ裏で梨田監督から「バントでごめんな」と声を掛けられ、「いえいえ、バントでありがたかったですよ」と満面に笑みを浮かべていました。

 勝つために何をしなければならないか。ダルビッシュ選手はこう言います。「一人ひとりが考えてやれていますから。いけるんじゃないかと思います」。残り13試合。首位のチームに優勝へのマジックが点灯したとしても、ファイターズの野球は変わりません。一戦一戦必死に戦うことが、未来を切り開くのです。

■ダルビッシュ投手 <9回、球数121、打者35、安打6、三振12、四球1、死球1、失点1、自責点1>

「先に点をやらないとかではなく、(ホークス打線には)前回の対戦でやられているのでしっかり抑えないといけないと思って投げました。(久しぶりの勝利投手でも)全然気にしていなかったし、自分のピッチングをするだけですから。チームが勝って良かったです。」

■梨田語録

「相手チームのエースとがっぷり四つのゲームを楽しみながら(打者を)攻めつづけていたようだね。9回は4点差というややこしい点差だったから、投げきって欲しいけど休ませてもあげたいという難しい決断だったね。打線もちょっとづつ4点取れたし、中田ももう一押し欲しいところで打てたし、最初に迷惑かけてたからね。いいタイムリーでした。3位と1ゲーム差?借金14から来てるから、順位関係なくやれることをやっていくしか無いですね。」

  1. トップ
  2. 試合情報
  3. ゲームレポート