■広報レポート <これがメッセージだ!>
打球が直撃しても、顔色ひとつ変えずに投げ続ける男がファイターズにはいます。146球を投げた3日後に、マウンドに立つ男がファイターズにはいます。送りバントを決め、ガッツポーズを見せる男がファイターズにはいます。一本のタイムリーに、満面に笑みを浮かべる男がファイターズにはいます。
先発はチーム勝ち頭の武田勝選手。先頭打者の打球を右足に受けながらマウンドを守り続けました。七回の先頭に右前打を浴びて交代するまで4安打無失点。バトンを受け取った建山選手も1安打されながら2三振と後続を断ちました。
そして、八回には中2日でダルビッシュ選手がマウンドへ。ファイターズファンの歓声と、バファローズファンのどよめきにスタンドは包まれました。引退試合となった塩崎選手に右前打を放たれたものの、その後は3人で料理。大事な1イニングを抑え、勝利を決定づけたのです。
絶対に勝つ――。その思いは投手リレーだけで見られるものではありませんでした。無死で走者が出れば確実に送りバントでチャンスを作りました。3犠打のうち2つが得点に結びつき、バファローズを突き放しました。若手の陽、中田の両選手もそろって2安打を記録しました。
久しぶりの安打が適時打となった中田選手。実は試合前、ベンチ裏で大村打撃コーチに「今日は頼むから打ってくれ」と声をかけられ、こう応えていました。「任せといてください!」。その宣言通り、大仕事をやってのけました。「大事な試合で打点を稼げて本当にうれしい」と笑顔をこぼします。
試合終了後、いつものようにハイタッチが交わされました。しかし、最終戦でもいつも以上の感慨はありません。
なぜか?
答えはもちろん、10月にも大好きな野球ができると誰もが思っているからです。この広報レポートでも敢えて今季は振り返りません。
ダルビッシュ選手はこう言います。「どこかのチームの負けを願うのは好きじゃない。でも、それしかないですから。いい結果になればいいと思います」。
どんな結末が用意されているのかは、誰も分かりません。人事は尽くしました。あとは天命を待つばかりです。
最大借金14から貯金7で全日程を終了。チーム全員で戦い続けた144試合でした。誰が欠けても乗り越えられなかったシーズンです。その最終戦でもぎ取った勝利の中でファイターズが見せた執念は、野球の神様へのメッセージなのです。
■武田勝投手 <6回0/3、球数92、打者21、安打4、三振6、四死球0、失点0、自責点0>
「シーズン最後の登板で大事な試合ということも分かっていたので最初から飛ばしていきました。(打球の直撃はあったが)幸い当たり所がよかった。それで逆に開き直って思い切りいけたところもあると思います。残りのイニング、しっかり応援します。」
■梨田語録
「開幕直後から大変で、怪我人も多かったけどでも最後にはなんとかここまでこれたという感じです。先発投手にアクシデントがあったときに榊原が緊急登板ながらもいいピッチングをして勝ち星を重ねてくれたのがチームに勢いをくれましたね。中田や陽と若手が少しずつ階段を登り始めています。シーズン後半にはいろいろなことが咬み合ってきて、バントの数も多かったけどみんな自分を犠牲にしてチームのために戦ってくれました。うちに出来ることはもう何も無いので、CSに出場できると信じて準備をするだけです。」