2011.05.28 SAT
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1X
R
H
0
7
1
7

■広報レポート <酸いも甘いもかみ分けて>

 打球がセンターを越えていくのを見て、殊勲のベテランは右手の人差し指を突き上げました。0-0で引き分け寸前の11回2死一、二塁。カープの守護神サファテ選手のストレートを弾き返し、稲葉選手が昨年5月以来、自身6度目のサヨナラ安打を放ち、スコアボードに唯一の得点を刻みました。「もっと早く来てほしかった」という思いが表れた塁上での手招き。代わる代わる抱きつかれ、満面に笑みをたたえていました。

 打席に向かう前に頭をかすめたのは、6回の打席。1死満塁で見逃し三振に倒れたがゆえ、試合はもつれにもつれました。心の中では「おいしい場面がもう一回来た」と力みはなし。球威に負けないよう、目線を低目一点に合わせていたところへ狙い通りのストレート。百戦錬磨の17年目はミスショットせずに場内を興奮のるつぼに変えました。

 球道師と呼ぶにふさわしい光景をロッカールームではよく目にします。若手選手の打席を初球から一緒に振り返り、1球1球に対するアプローチが正しかったのか、じっくり突き詰めていくのです。気配を消しながら狙い球をいかに絞るか。まさしくこの日の最終打席が“生きた教材”になったはずです。

 春先、国内でも台数の少ないスポーツカーを知り合いから借り受けて札幌ドーム入りした際「いいでしょう?」とうれしそうに話したことがありました。オンとオフを切り替えるうまさも勝負所での高い集中につながっている。必然性を感じる一打を見た気がします。

■吉川投手 <6回2/3、球数105、打者26、安打5、三振6、四球2、死球0、失点0、自責点0>

「1、2回はちょっと力んでしまいましたが、その後はほとんど狙ったところにいきました。力まずに前でボールを放すということをテーマにファームではやってきたし、その通り投げられたと思います。今日は出来すぎですけどね。あとはしっかりと応援します。」

■梨田語録

「吉川は速いストレートだけじゃなくて、変化球も交えて投げていた。少し大人になった感じがするね。稲葉はネクストやベンチから自分なりのタイミングを計って、開き直って振ったんじゃないかな。(武田)久も2イニング行ってもらって勝ちがついて、本人にもチームにも大きなこと。(今季初スタメンの)鶴岡は11回を0点に抑えてくれたから。ファームで吉川を受けていたし、よくリードしてくれました」

  1. トップ
  2. 試合情報
  3. ゲームレポート