2012.11.03 SAT
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広報レポート <夢の途中>

 ジャイアンツの選手が次々と呼び出される表彰式を、ファイターズの選手、コーチ全員が三塁ベンチ前で見つめていました。拍手を送りながら、何が足りなかったのか、なぜ勝てなかったのかをそれぞれが考えているようでした。しかし、パ・リーグチャンピオンとしてこの日までグラウンドに立っていられる誇りも、それぞれの背中から同時に見て取ることができました。キャンプインからの9ヶ月という長い道のりは、常に順調だったわけではありません。調子が上がらない選手、故障で離脱する選手。数々の修羅場を経験する中、栗山監督の下で選手全員が成長してペナントレースを制し、決戦の舞台に立つことができたのです。

 後がなくなった第6戦も、劣勢でのスタートを余儀なくされました。序盤で3点のリードを許し、早めの継投に。そんな厳しい戦いを、ひと振りで振り出しに戻した男がいました。中田翔。六回2死一、三塁でした。ストレートを弾き返して左中間スタンドへ叩きこむ日本シリーズ初打点。最後の最後で意地を見せました。

 全試合4番に座った男も、シーズン前半は不調にあえいでいました。稲葉選手が2000本安打を放った試合前のことです。多くの記者に囲まれ、練習中からテレビカメラがその一挙手一投足に注目していました。その様子を見ていた中田選手がこうつぶやきました。「見といてください。シーズンが終わったころには、僕が話題の中心になってますから」。後半戦に入ってからの存在感は誰もが知るところでしょう。開幕直後に「いつまで使うのか」と言われた男が、第2戦の死球後には「試合に出られるのか」とまで言われるようになりました。「悔しいのひと言」。この日の試合後に発した言葉が、来季へのパワーとなるはずです。

 試合後、栗山監督は全選手・全スタッフを前に「申し訳ない」と言葉を詰まらせました。ただ、日本シリーズで敗れたことで見つかった課題も挙げ「みんなで強いチーム、負けないチームを作ろう。こういう思いをしないように準備しよう」と力強く言い切りました。春のキャンプ終盤、各メディアの順位予想でファイターズが軒並み低評価であることを知り、「だったらさ、みんなの予想を覆してやろうぜ。驚く顔見たら楽しいぞ」とほくそ笑んだ新監督。驚かせることに間違いなく成功したはずです。ファイターズの強さを知らしめた1年間。夢は正夢―。正夢になる夢は、まだその途中なのです。

武田勝投手 <2回、打者11、球数36、安打4<本塁打1>、三振0、四死球1、失点3、自責点3>

「自分の力のなさでチームに迷惑をかけてしまい、申し訳なく思います。最後まで諦めず、逆転を信じて応援します。」

栗山語録

「勝者は歴史を作れるけれど、敗者は美談に終わってしまう。やられたら意味がないんでね、ファンの皆さんに申し訳なく思います。勝ち負けは別に何とかこの空気の中でもう1試合、選手達にプレーしてもらいたかった。命がけで生きてきたつもりで、一つのことだけを考えて学ぶことの多かった1年はなく、何十年ぶりかでこんな悔しい思いをした。選手は前進してくれたし、歩みを止めないようしっかりチームを作っていきます」

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