2013.05.23 THU
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広報レポート <天から二物を与えられし者>

 負けられない思いがスイングにこもっていました。2点を追う8回2死一塁。外角のシュートをとらえた中田選手の打球は大きな弧を描いて右翼フェンスを越えました。今季初めて延長に突入した試合は4時間34分、12回引き分けに終わりましたが、5回2失点でリードされたまま降板した初登板初先発の大谷選手の黒星を4番の一打が消しました。

 中田選手の1軍デビュー、プロ初安打は2009年5月23日、相手は同じスワローズ戦で舞台は札幌ドームでした。運命を感じさせるように、全く同じ日に大谷選手の二刀流伝説が幕開け。「投げている間に少しでも早く援護してやれなくて」。試合後、晴れない表情で取材に応じ続け、5歳年下のルーキーに負担をかけてしまったことを終始悔やんでいました。

 終盤に試合を振り出しに戻す勝負強さを、大谷選手の方は同点弾の瞬間、ベンチで両手を突き上げながら感じていた様子です。この日は最速157キロをマークしながら2回から4回は毎回2塁走者を許す苦心の投球。「最少失点で行っていたら、中田さんの本塁打で勝てたでしょうし、カウントを取りにいくところで丁寧にいけたら良かったと思います」。開幕から野手で15試合に出場して打率.308をマーク。誰も歩んだことのない道を突き進む挑戦は、好守を連発した野手、8回1死満塁で好救援した鍵谷選手らの踏ん張りにより黒星発進を回避。次回は恩返しの投球を見せてくれるはずです。

 背番号11のデビュー登板へ期待感を示すように、開場時には6600人の方が長い列を作り、平日ナイターでは今季最多となる3万6608人のご来場をいただきました。二物を与えられし18歳がなぜ二刀流に挑むのか。2人の「大谷翔平」の成長が必ずやチームの力になるはずです。

大谷投手 <5回、球数86、打者22、安打6、三振2、四球3、失点2、自責点2>

「3人で終わる回がほとんどなく、いい形で攻撃につなげられなかったのは反省点です。行っていた球もあればカウントを整えるところでシュートしてしまったりで、もう少し丁寧に投げられるようにしたいですね。スワローズ打線はスイングが速く、危ないと思った球もありました。この後は逆転できるようしっかり応援します」

栗山語録

Q.延長12回の長い一戦も引き分けでした
「負けないのであれば、どんなに長くてもいいです」

Q.大谷選手の初先発については
「うん、みなさんが見ていただいた通りですね」

Q.最速は157キロでした
「もっと出るかなと思ったけどね。でも、印象に残ったのは顔が違うということ。バッターボックスとマウンドでは全然違っていましたね」

Q.本人も『緊張した』と話していました
「緊張してましたよね。ああ、翔平も緊張するんだなと思いました。でも、本当に楽しみですね」

Q.マウンドでの姿を見て感慨深いものがあるのでは
「個人的にはありました。これでいいのかと思ったこともあったし、ファイターズに来てくれたという経緯とかですね。個人的にはそういう気持ちはありました」

Q.劣勢を跳ね返したのは中田選手のひと振りでした
「ベンチから見ていると詰まっているようにも見えたけど『何とかしてあげたい』という当たりでしたね。本当ならサヨナラ勝ちしないといけないけど、(ブルペンや守備も含めて)我慢しきった試合だった。これが原点だという試合だったと思います」

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